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「時効の援用」に関するお役立ち情報

借金の時効とは

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2022年11月1日

1 法律上、借金を支払わなくてもよい場合がある

借金を返していないにもかかわらず、支払義務がなくなる場合として、民法で定められた消滅時効という制度があります。

なお、期間の経過によって権利がなくなるのとは逆に、ある者が権利者であるかのような状態が継続した場合にその者を権利者と認める取得時効という制度もあります。

2 時効の制度趣旨

取得時効も消滅時効も、ある事実状態が法律で定められた期間継続した場合に、その事実状態を権利関係として認めるもので、継続した状態が真実の権利関係と一致しているかどうかは問わないため、その趣旨については以下のような考え方があり、複合的に理解されています。

第1に、長期間継続した事実状態を信頼して社会において築かれた法律関係を尊重するべきという考えがあります。

第2に、長期間にわたって権利行使をしなかった者の権利は奪われてもしょうがないという考え方で、一般的に、権利の上に眠る者は保護しないという風に表現されます。

第3に、事実状態が長期間継続したことにともなう資料の散逸等による立証困難の不都合を回避しようとする考え方です。

3 消滅時効の手続きの進め方

貸金業者からの借金については、5年で消滅時効となります。

ただ、放置していても時効になるわけではなく、消滅時効の援用といって、法律上正しい方法で時効を主張しなければ、借金の支払義務は残ったままです。

そこで、最後に返済をしてから5年以上が経過している場合には、通常、消滅時効を援用する旨の内容証明郵便を発送することで、借金の支払義務がなくなることになります。

当法人では、郵便発送から1ヶ月後までには相手の業者に時効で間違いないか確認していることが多いです。

なお、最後の返済してから5年以上経過していても、裁判をしてくる業者もいますが、この場合には、裁判の判決が確定する前に、裁判所に対して、消滅時効を援用する旨の書面を提出することになります。

4 5年経過していても時効消滅しない場合

ただし、事後的に最後に返済をしてから5年以上経過していないことが発覚した場合や、5年が経過する前に裁判をされていた場合などは消滅時効の援用により借金の支払義務がなくなることはありません。

また、5年が経過した後であっても裁判をされて判決が確定しているような場合には、一旦確定した判決を覆すことができないため、確定から新たに10年が経過しない限り、消滅時効は援用できないことになります。

借金があることを認める話し合い(債務承認)をした場合も、話し合いから5年ないし10年間時効にかからなくなるので、請求を受けて驚いて、ご自身で相手の業者と話し合いをしないことが重要です。

5 消滅時効が成立しなかった場合の対応方法

この場合には、任意整理、個人再生手続きや自己破産手続きを進めることが必要となる場合もあります。

任意整理は、分割払いの話し合いで、時効でない債務が1社だけで金額も大きくない場合等に、支払方法を相手の業者と弁護士で話し合います。

個人再生は、裁判所に申請して借金の元本も減額してもらい、3~5年で返済する手続きで、自己破産は、裁判所に申請して借金を0にしてもらう手続きです。

とくに、裁判をされていたケースでは、勤務先に対する給与の差押えがなされることも想定されることから、早急に方針を決める必要があります。

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