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住宅ローン特則について

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2024年2月2日

1 住宅ローン特則とは

個人再生手続を行い再生計画が認可決定されると、その後は再生計画で定めた内容に従って返済を行っていくこととなります。

しかし、個人再生をした場合でも、抵当権などの担保権は、それに関係なく実行することが可能です。

そのため、個人再生手続を進めても、抵当権を実行されてしまい、それによって住居を失い、生活の再建が図れなくなるということがありえます。

そこで、住居という生活の基盤を残しながら生活の再建を図ることができるよう、「住宅資金貸付債権に関する特則」(以下「住宅ローン特則」といいます。)が設けられました。

この特則を利用することによって、住宅ローン以外の債務を整理しながら、住宅ローンの返済を続けることができます

2 住宅ローン特則のメリット

住宅ローン特則を利用した場合のメリットとしては、次のようなことが考えられます。

①抵当権などの担保権の実行を受けない

住宅ローン特則は、住宅ローン以外の債務を整理しながら、住宅ローンの返済を続けることができる制度です。

そのため、債務者の方が返済計画にしたがって住宅ローンを支払う限り、担保権を実行されず、住居を失わずに済みます。

②期限の利益の回復

債務者の方が住宅ローンの支払いを滞納してしまった場合、一般的には、期限の利益を喪失し、住宅ローンの残額分を一括弁済することを求められます。

しかし、住宅ローン特則を利用すれば、住宅ローンの期限の利益の喪失はなかったこととされ、一括弁済を免れることができます。

③各弁済期の支払額が少なくなる

一定の条件を満たす場合には、住宅ローンの弁済期間を延長して、当初の返済計画よりも、月々の支払額を少なくすることができます。

また、弁済期間を延長しても住宅ローンの支払が困難な場合には、住宅ローンの元本の一部が支払猶予とされることもあります。

3 住宅ローン特則を使えないケース

住宅ローン特則を利用するには、再生計画作成時に住宅資金特別条項を定める必要があります。

ただし、事案によっては、住宅資金特別条項を定めることができないケースがあるため、注意が必要です。

住宅資金特別条項を定められないケースとして、例えば、以下のようなものが挙げられます。

①住宅の上に住宅ローン以外の担保権が設定されているとき

住宅ローン特則は、住宅ローンを担保する抵当権以外の担保権に対しては効力が及びません。

そのため、住宅ローン以外の借入等の際に住宅を担保に供している場合は、住宅ローン特則を使っても住宅を守れないということになってしまいます。

②住宅ローンの債権者が、代位弁済によってその債権を取得している場合

例えば、債務者の身内の方が住宅ローンの保証人となっていて、保証債務を履行した場合、その身内の方が住宅ローンの債権を取得することになります。

このような場合にまで住宅ローン特則を認めると、一般人である人物(この例では身内の方)が抵当権を実行できなくなってしまい、相当な経済的負担が生じてしまうため、住宅ローン特則を利用できないとされています。

③保証会社が代位弁済した日から6か月以内に再生手続開始の申立てがなされないとき

保証会社が代位弁済をしてしまった後で、住宅資金特別条項を定めた再生計画が認可されると、代位弁済はなかったこととされ、保証会社は住宅ローン債権者に支払ったお金を返還してもらうことになります。

これを「巻き戻し」といいます。

しかし、代位弁済からあまりに長期間経過した場合にまで巻き戻しが行われてしまうと、それまでに行われた多数の取引がなかったこととされてしまい、取引の安定性を著しく欠く結果となってしまうため、住宅ローン特則は利用できないとされています。

4 当法人にご相談ください

住宅ローン特則を利用できるかどうかということは、債務者の方にとって生活の基盤を維持できるかどうかに関わる極めて重要な事柄です。

そのため、住宅資金特別条項を定めた再生計画が認可されるように、十分に準備をしなければなりません。

他方で、個人再生手続の中でも、住宅ローン特則の問題はとても専門性が高い問題であるため、手続に慣れていて、そのノウハウをもっている弁護士でないと適切な対応をとることが難しいことがあります。

当法人には、それぞれの分野に強みを持つ弁護士が在籍しており、個人再生のご相談については個人再生を含む債務整理を得意とする弁護士がご担当させていただきます。

ご自宅を残しながら債務整理を行いたいとお考えの場合には、当法人にご相談ください。

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