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「任意整理」に関するお役立ち情報

クレジットカードと任意整理

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2020年3月18日

1 クレジットカードを使い続けられるか

任意整理をしようか検討している方が気になる点としては,任意整理をした場合に,現在使っているクレジットカードを引き続き使い続けることができるかということがあるかと思います。

この疑問に対しては,使い続けようとしているクレジットカードが,任意整理の対象とした借入先の業者のクレジットカードか任意整理の対象としていない借入先の業者のクレジットカードかによって説明の仕方が異なってきます。

以下,それぞれについて見ていきましょう。

⑴ 任意整理の対象とした借入先の業者のクレジットカードの場合

任意整理の対象とした業者のクレジットカードの場合,そのクレジットカードを使い続けることはできないと考えた方がいいでしょう。

弁護士が任意整理の受任通知を業者に対して送付した段階で,クレジットカードの返還を求められることも多いです。

⑵ 任意整理の対象としなかった借入先の業者のクレジットカードの場合

任意整理の対象としなかった業者のクレジットカードの場合,支払いを遅延しない限りは,一定期間,引き続きクレジットカードを使用できる可能性があります

もっとも,借入先のどこか1社でも任意整理をしたときは,その事実が信用情報機関に登録されるのが通常ですので,クレジットカード会社が与信審査をする際に信用情報機関に信用情報の照会をしたときには,任意整理した事実が発覚し,与信審査が通らず,それ以降クレジットカードを使い続けることができない可能性があります

クレジットカード会社が行う与信審査は,クレジットカードの作成時のほか,クレジットカードの更新時の与信審査や途上与信があります。

途上与信とは,クレジットカードの利用中にクレジットカード会社が設定している基準に適合しているかの審査を行うことで,基準に達していなければ,基本的にはクレジットカードが利用停止になります。

⑶ 家族の分のクレジットカード

ア 家族名義のクレジットカードを使い続けられるか

任意整理をした場合であっても,家族名義のクレジットカードまでもが使い続けることができなくなるわけではありません

任意整理をした場合にクレジットカードを使い続けることができなくなるのは,任意整理をした人の信用が失われたからであり,それは信用情報機関に登録された信用情報によって確かめられます。

任意整理をした場合に信用情報機関に登録される信用情報は,あくまで任意整理をした本人のみの情報であって,家族の信用情報には変化がありませんので,家族には影響がありません。

家族について支払いの滞納や債務整理等の事実がない限り,家族が自分の名義でのクレジットカードを使い続けることは可能といえるでしょう。

イ 家族カードを使い続けられるか

家族カードとは,クレジットカードの契約者(本会員)名義で,その家族に対しても追加発行されたクレジットカードです。

本会員の家族は,基本的には審査されることなく,クレジットカードを持つことができるというものです。

家族カードを利用する場合,支払義務があるのは,クレジットカードの契約をした本会員ですので,家族カードの信用は,本会員の財産や収入状況等によって判断されます。

そのため,本会員が任意整理をすると,その家族カードはすべて使い続けることができなくなる可能性が高いといえます。

たとえば,夫が家族カードの契約者であり,妻に対して家族カードが追加発行している場合,夫が任意整理すると妻の家族カードは使い続けることができません。

一方で,家族カード会員が任意整理をした場合には,家族カードが本会員の信用をもとにクレジットカードの与信審査をしていることからすれば,本会員は家族カードを使い続けることができる可能性があります

たとえば,夫が家族カードの契約者であり,妻に対して家族カードが追加発行している場合において,夫について滞納等の事実がなければ,妻が任意整理しても夫は引き続き家族カードを使い続けることができる可能性があります。

2 これまでクレジットカードで支払っていたものの支払方法

それまでクレジットカードで支払っていたものは,任意整理をした後はどのように支払っていけばよいのでしょうか。

たとえば,クレジットカードを通じて携帯電話料,水道光熱費,保険料等の支払いをしている方もいるかと思いますが,任意整理をした後は,クレジットカードを使い続けることができず,引き落しがなされないという事態が起こりますので,他の支払方法をとらざるを得ません。

任意整理する際にクレジットカードで支払っていた料金は,支払方法を変更して口座引き落としとするか,請求書が届くのを待ってから,届いた請求書を持ってコンビニ等で支払うといった支払方法が考えられます。

3 クレジットカード会社が銀行の借入の保証をしている場合

クレジットカード会社が銀行の保証会社となっていることがあります。

保証会社とは,カードローンなど銀行からの借入の契約をする際に融資してもよいかの審査をしたり,借主が返済を遅れたときに借主に代わって銀行に返済したりするという役割を持つ会社のことをいいます。

たとえば,オリエントコーポレーションは,みずほ銀行の保証会社となっていることが多いようです。

また,住信SBIネット銀行の保証会社はオリックスクレジットやジェーシービーが,イオン銀行の保証会社はイオンクレジットサービス,楽天銀行の保証会社は楽天カードやセディナなどが保証会社となっていることが多いようです。

クレジットカード会社が銀行の借入の保証をしている場合,注意しないといけない点が大きく分けて2つあります。

1つ目は,クレジットカードの利用に関する点です。

クレジットカードを使い続けたいがために,クレジットカード会社に対する債務を任意整理の対象としなかった場合でも,そのクレジットカード会社が保証している銀行の借入を任意整理の対象とすると,通常,クレジットカード会社が債務者に代わって銀行に対して代位弁済を行います。

その結果,銀行に対する債務もクレジットカード会社に移ってしまい,クレジットカード会社を相手に任意整理をすることになり,基本的にはそのクレジットカード会社のクレジットカードを使い続けることはできなくなります

クレジットカードを使い続けたいという意向をお持ちならば,そのクレジットカードを発行しているクレジットカード会社を保証会社とする銀行のカードローンについても任意整理をしないという対処が必要となる場合があります。

2つ目は,銀行口座が凍結される可能性がある点です。

クレジットカード会社が銀行の系列会社の場合,クレジットカード会社からの借入を任意整理すると,銀行の預金口座が凍結されるおそれがあります。

預金口座が凍結されてしまいますと,給料が振り込まれても引き出すことができなくなったり,口座残高と借入金が相殺されてしまったりするという不利益が生じるので,給料の振込先の変更や口座残高をゼロにするといった対処が必要となります。

4 クレジットカード会社のカードと他のサービスとの関係

クレジットカード会社は,クレジットカードのショッピング以外のサービスを提供していることが多いです。

たとえば,ジャックスは,クレジットカードを利用することによるショッピングの支払のほか,自動車ローン,家の増改築等のリフォームのためのローン,家賃保証や家電の分割払い等のサービスを提供しています。

自動車ローンや家賃保証,家電の分割払いについて任意整理をすると,車や家電が引き揚げられたり,家賃の保証契約を解除されて借りている家から退去せざるを得なくなったりする可能性があります

このような事態を避けるためには,クレジットカードの支払債務を任意整理の対象としつつも,それ以外の車のローン等の債務については任意整理の対象から外すという方法が考えられます。

家賃保証については,大半の業者が除外に応じてくれます。

家賃保証以外のサービスについては,債務の支払いが遅れていない場合であれば,業者はそのサービスにかかる債務を任意整理の対象から除外することに応じることが多いですが,業者によって対応が異なります。

自動車ローンや家電の分割払い等の債務を任意整理の対象から除外することに応じなかった場合で,どうしても自動車の引き揚げや家電の引き揚げには応じたくないときには,そもそもそのクレジットカード会社のクレジットカードを任意整理の対象から外すことを検討しなければなりません。

5 クレジットカード会社の任意整理の特徴

以上見てきたように,クレジットカード会社に対する債務を任意整理するときには,クレジットカードを使い続けることができない可能性クレジットカードで支払っていたものの支払方法の変更クレジットカード会社が提供する他のサービスを利用できなくなる可能性等に留意する必要があります。

しかし,これ以上に全てのクレジットカード会社の任意整理に共通する特徴を挙げることは難しいです。

任意整理とは,弁護士と各債権者が交渉をすることによって,基本的には今ある債務を長期に分割して支払うという和解をまとめる手続であり,任意整理においてまとまる和解の条件には,返済期間や利息のカット等の要素を挙げることができます。

たとえば,業者によっては5年を超える長期間の分割にも応じる場合がある一方で,基本的には短期間の分割でしか和解に応じない業者も存在します。

また,利息のカットについても,業者ごとに大まかな対応が異なり,和解が成立して以降の将来利息については大半の業者がカットすることに応じますが,最終返済日から和解が成立するまでの経過利息はカットされない例が少なくありません。

もっとも,新規の営業を行っているクレジットカード会社であれば,少なくとも任意整理の交渉において一括での返済しか認めないというような強硬な態度をとられることはないといえ,この限りではクレジットカード会社の任意整理に共通した特徴といえるかもしれません。

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